夢じいの全力チャレンジ録 ~少年野球コーチ編 第二話~

第2話「息子たち、夢じいの夢を追いかけて」

夢じいの「いつか息子と一緒に野球をしたい」という長年の夢は、思いのほか自然に叶いました。


二人の息子は、気づけば夢じいの少年時代と同じように、バットを握り、グローブをはめていました。

休日になると公園でキャッチボール。時には三角ベース。
まだ小さな体で投げる球はふらふらでしたが、それでも、夢じいにとっては夢のような時間でした。

やがて、二人とも本格的に少年野球チームに所属することになります。
そして、次男が所属していた地元のチームで、ある日コーチの募集がかかりました。

「チームを支えてくださる保護者の方、いませんか?」

その言葉に、夢じいの心が動きました。
あの頃、自分がチームメイトに支えられ、監督に見守られ、思いきりプレーした日々――
今度は、その“支える側”に回る番が来たのだと。

ユニフォームに袖を通すと、不思議な気持ちになりました。


まるで時空を超えて、あの頃の夢じいと今の夢じいがグラウンドで握手したような気分。
背中に「コーチ」と書かれた文字を、少し誇らしく感じながら、新しい挑戦が始まりました。

コーチとしての初日。
夢じいはやや緊張しながら、グラウンドに立っていました。
「どうやって子どもたちに教えたらいいのか?」
「自分の野球経験は昔すぎるんじゃないか?」
そんな不安も正直ありました。

でも、子どもたちはそんな夢じいの気持ちをよそに、元気いっぱいに走り回っていました。
「こんにちは!コーチ!」と駆け寄ってくる子たちの笑顔に、夢じいの緊張はすぐにほどけました。

次第に、夢じいの中にある“昔の感覚”がよみがえってきます。
あのバッターボックスに立つ高揚感、フルスイングの快感、
そして、守備でやらかしてしまったときのドキドキ(これはしっかり覚えています…笑)。

コーチといっても、夢じいの担当は主に「サポート」や「審判」、そして「見守ること」。
最初から技術指導ができるわけではありませんでしたが、
練習の準備や球拾い、声かけ、何より“子どもたちの成長を見つめる役”としての役割を全うしました。

一方で、コーチになって初めて知ったこともあります。
子どもたちは、思っていた以上に繊細で、まっすぐ。
試合でミスをした子が、ベンチの隅で悔し涙を流している。
仲間同士で衝突して、練習後にモヤモヤを抱えている。
そんな場面にたくさん出会いました。

夢じいは、そういうときこそ、自分の出番だと思いました。
そっと隣に座って、声をかける。


「ミスしてもいい。思いきりやったら、それでええ」
「ケンカも野球のうちや。けど、仲直りできたらもっとええ」

そんな言葉が、どこまで届いていたかは分かりません。
でも、夢じいの言葉にうなずいて、またグラウンドに戻っていく子どもたちの背中に、
あの頃の夢じい自身を重ねていたのかもしれません。

そして何より――
目の前でがんばる息子の姿は、特別でした。

ユニフォームを着て、打席に立つ。
守備のミスに悔しがる。
仲間と笑い、励ましあいながら試合を戦う。
そのすべてが、夢じいにとっては宝物のような時間でした。

次回は、そんなグラウンドの日々の中で感じた“野球の原点”をお届けします。

夢じいの一言:

「野球も人生もフルスイング!ミスしても、ボール拾ってまた構えたらええんよ。」

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