第三話:「負けたくない」より「やりきりたい」

陸上でも仕事でも、「勝ちたい」「負けたくない」と思うのは自然なことです。
でも、夢じいは今、「やりきること」を大切にしています。
高校時代、私はいつも「負けたくない」と思っていました。
勝ちたいというより、ビリになりたくない。
だから無理をして、心も体も張りつめていました。
でも、結果が出なければ落ち込み、人と比べて自分を責めてしまう。
気づけば「勝てないなら、もうやめようか」と思うようになっていました。
そんなとき、ある先輩が言ってくれたんです。
「勝てるかどうかは、その日の相手しだい。
でも、やりきれるかどうかは、自分次第だよ。」

その言葉にハッとしました。
それからは、結果よりも「やりきれたかどうか」に目を向けるようになりました。
記録が悪くても、自分なりに全力を出せた日は、心がすがすがしかった。
逆に、迷いながら走った日は、勝っても気持ちは晴れませんでした。
この「やりきる」という感覚は、今の人生にもつながっています。
仕事も家庭も、趣味も人間関係も――
比べるとキリがありません。
でも、「自分なりにやってみた」と言える日があれば、心は軽くなります。
たとえば、家庭菜園でできた少し不格好なトマト。
けれど、自分で育てたという満足感は、何物にも代えがたい。

たとえば、カラオケでうまく歌えなかったとしても、思い切り歌い切った後の爽快感。

誰かに勝つためじゃなく、自分が納得できるためにやる。
それが夢じいの“今のチャレンジ”です。
若い頃は勝ち負けも大切。
でも今は、「やりきる人生」のほうがずっと面白い。
どうかあなたも、比べず、焦らず、自分のペースで。
やりきったと思える日を、一緒に積み重ねていきましょう。

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