第2話:夢じい、ブラジルでポンチョを着る
「毎週万博に行きたい!」と張り切っていた妻も、ようやく気づいたようです。人気館の予約はそう簡単に取れるものではなく、どうやら毎週通うのは無理だと。
夢じいとしては、少しホッとしていますが、それはもちろん口にはしません。
今回も、相変わらず夢じいは、相棒(妻)の決めたことを、決められたように従うだけです。
それがうちの夫婦の平和の秘訣かもしれません。
この日はこれまでで一番早く家を出て、朝イチで東門をくぐりました。開門の30分前にもかかわらず、すでに大勢の人が詰めかけていて、列というよりは、まるで何かの集会のように限られたスペースにぎっしりと人が集まっていました。
予約は11時過ぎのアース館でしたが、相棒が「ここは朝イチで行くべき」と調べ抜いて選んだのがブラジル館です。

夢じいのブラジルに対する知識といえば、「サッカーが強い」「コーヒーが美味しい」といった程度で、正直なところ「はてな?」という気分でした。
それでも多くの方が並んでいて、さすがにお昼時のアメリカ館やフランス館のような2時間待ちの長蛇の列というほどではありませんでしたが、しばらく待ちました。
中に入ってみると、白い紙があちらこちらに貼られており、小さな部屋に通されました。そこで係の方が「どうぞ」と手渡してくださったのが、風呂敷のような布。
開いてみると、なんとポンチョでした。
これはたまにもらえるらしく、運が良かったようです。
嬉しくなって、夢じいはすぐにその場でポンチョを着ました。似合っているかどうかはさておき、心の中はすっかりブラジルモードです。
そのあとは、展示よりもポンチョの嬉しさの方が勝ってしまい、何を見たのかあまり覚えていません。
その後、カフェスペースでいただいたブラジルコーヒー。
少し苦味がありましたが、それがまた心地よくて、とても美味しく感じました。
あの味はきっと、ポンチョを着て飲んだ人にしかわからない幸せの味だったのだと思います。

夢じいの一言:
「ブラジルの風が、ポンチョ一枚で吹いてきた気がしました」
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